眠る彼女の左目にキスをする。
黄金色の蝶が飛び立ち、静まり切った朝の空気を震わせる。
「という夢を見た」
「きみの左目が金色だからじゃない」
コーヒーをすする彼女は冷たい。
「したの?」
「なにを」
「キス」
「どうかな」
深い深い闇のふちを彩るまつげがちらりと光った。
「ばかみたい」
そうかもね、と呟き触れる瞼の熱いのが、うれしいのか、かなしいのか、わからなかった。
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大人げない大人たち、子供らしくない子供たち、みんな毎日生きている。
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